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植え付け |
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春まき 種まき……3月〜4月中旬 収穫……5月〜6月
秋まき 種まき……8月中旬〜4月中旬 収穫……11月中旬〜1月
古来より日本人に親しまれてきた野菜で、アブラナ科の根菜です。
消費量は、日本が世界で1番です。
原産地は中央アジア・地中海沿岸です。
古代エジプトでは、今のハツカダイコンに近いものがピラミッド建設労働者の食料とされていました。
その頃のものが最古の栽培記録とされ、その後ユーラシアの各地へ伝わっていきました。
江戸時代には関東の江戸郊外である板橋・練馬・浦和・三浦半島辺りが特産地で、中でも練馬大根は有名です。
当時は貴重な米を補う為、主食の分野にまでダイコンが進出していました。
明治後期の日本人はなんと現在の3倍もの量のダイコンを食べていました。
この頃は庶民に出回る薬も少なかったため、ダイコンは食べる薬としても重宝されました。
ダイコン栽培のキーワードは「深耕・精耕」です。
土を深く丹念に耕すことがよいという意味です。
栄養価としては、デンプンの消化酵素である ジアスターゼ を多く含み、整腸作用 があります。
また、ビタミンC や B2 にも富み 美肌効果 があります。
さらに繊維質のリグニンが多く含まれています。
そして、焼き魚の焦げに含まれる発ガン性物質を分解するオキシターゼは、ガン抑制にも効果があります。
焼き魚にダイコンおろしが添えられる理由はこのためです。
葉には根にはない ビタミンA・E が含まれ、ビタミンC は根の5倍多く含まれます。
また、食物繊維などに富み、ガンや骨粗しょう症の予防、貧血の改善などに役立ちます。
葉のたんぱく質にはアミノ酸のリジンも多く含まれています。
干した葉を薬湯(湯舟)に入れると体があたたまり、冷え性、肩こりや腰痛の症状が緩和されます。
参考:農林水産省統計(平成23年産)
■青首大根(あおくびだいこん)
青首宮重(あおくびみやしげ)群と言われる種類で、葉の付け根辺りが日に当たり青くなっているものです。
今、一般に市場に出ているものの大半がこの種類です。
生産量は大根全体の9割以上を占め一年を通して出荷されています。
■練馬大根(ねりまだいこん)
青首大根に対して、練馬を中心に栽培されていた品種で、首まで白いものです。
関東のたくあんと言えば、練馬大根を用いています。
■三浦大根(みうらだいこん)
神奈川県の三浦で生まれた品種で、真ん中が太くなっている白首大根です。
肉質はきめ細かく、生では辛味が強いです。
しかし煮崩れしにくく煮物にすると甘みが出るため、ふろふき大根などにもされます。
一時期かなり栽培が減ってしまったのですが、近年徐々に増えてきています。
■御薗大根(みそのだいこん)
三重県で栽培が行われている品種の大根で、三重県の伝統野菜の一つにもなっている野菜です。
一般的な大根よりも長いため、地面から掘り起こすのが大変です。
■亀戸大根(かめいどだいこん)
文久年間(1861〜64)に亀戸周辺で盛んにつくられていた大根です。
荒川水系が上流から運んだ肥えた土のため、肉質が緻密で白く輝くような大根になりました。
根も葉もいっしょに浅漬や、ぬか味噌漬にして美味しく食べられます。
■桜島大根(さくらじまだいこん)
鹿児島県の桜島周辺で栽培されている大型大根です。
かぶのような形をしていて、大きさは20から30kgもあります。世界最大級です。
■守口大根(もりぐちだいこん)
大阪府守口市で生まれた大根ですが、名古屋・岐阜の特産物になっています。
特徴はその形で、太さ2〜3cmで長さがなんと2〜3mにもなるそうです。
異様に細長い大根で繊維質が多く辛味が強いので、もっぱら漬物用となっています。
守口漬けは愛知の名産品になっています。
■聖護院(しょうごいん)
カブラのような丸い形のダイコンです。
京野菜の1つで、京都の冬には欠かせない食材です。
煮るとたいへん軟らかく、味がしみ込みやすくてとろけるような口当たりです。
通常のダイコンと比べると倍以上の値段の高級品ですが、一度は食べてみる価値のあるモノです。
■京都辛味大根(きょうとからみだいこん)
細長いものから逆円錐系のもの、丸いものなど地方によりいろいろな形のものがあります。
ここでは京都の伝統野菜になっている物を取り上げました。
形は小かぶに似ています。肉質は緻密できめが細かく、強い辛味があります。
そばやてんぷらの薬味としておろしで使われることが多いようです。
マリネにすると辛味が食欲をそそり、前菜としても面白そうです。
■源助大根(げんすけだいこん)
金沢の伝統野菜「加賀野菜」のひとつ。形は太短く肌がきれいで、肉質は柔らかく甘みがあります。
金沢の冬の名物「大根寿司」に使われています。
■間引き大根(まびきだいこん)
これは品種ではなく、大根が育つ過程で間引きをした物です。
よく、サラダやピクルスにされます。葉は刻んで炒め物や汁物にします。
若く柔らかいので浅漬けでも美味しいです。
畑栽培
ダイコンの形は大きく分けて細長いタイプと丸いタイプの2つがあります。
細長いタイプは収穫の際に引き抜きやすいのが特徴です。
日本で流通しているダイコンの90%以上がこのタイプです。
丸ダイコンは「聖護院」ダイコンが有名です。
小ぶりですが煮物に最適な肉質です。
ダイコンは品種により植える時期が大きく異なります。
春まき品種である「天宝」や「仙水」などは、4月ごろに植えて6月に収穫することが出来ます。
秋まき品種である「耐病総太り」や「冬どり聖護院」は8月末〜9月下旬に植えて、
11月〜1月に収穫することができます。
プランター栽培
プランター栽培に適した品種は、地上に長く飛び出て、
先まで太くなる青首総太りの短根種が最適です。
秋まき品種は、ス入りが非常に遅い「耐病総太り」やその系列品種が適しています。
(ス入りとは、食べごろをすぎて中に空洞・細かい穴ができてしまい食感や味が落ちることです)。
春まき品種はとう立ちしにくい晩抽型の「おしん」などが適しています。
根が長くならない「聖護院」もプランター栽培に向いている品種です。
家庭菜園で育てた場合、大根はほぼ無農薬で栽培できるので栄養価の高い葉も全部食べることができます。
畑栽培
l 種。
l 苦土石灰100〜150g/u。
l 堆肥2kg/u。
l 化成肥料100g/u。
プランター栽培
l 種。
l 深型プランター・ジャンボプランター。
l 標準的な用土(粒子の細かい培養土)。
■土づくり
畑栽培
土作りの段階でしっかりと石を取り除き耕します。
種まきの2週間前までに、苦土石灰100〜150g/uをいれてpHを上げておきます。
畝(うね)幅を60cmでつくり種まきの1週間前に堆肥2kg/uと化成肥料100g/uをやります。
くわなどで土を盛り上げるように寄せて高さ10cmの畝を立てます。
畝の長さに関してはダイコンの株と株の間に最低30p必要です。
よって「植える株数×30p」分以上が必要です。
プランター栽培
深型プランター・ジャンボプランターに標準的な用土(粒子の細かい培養土)を入れます。
■種まき・植え付け
畑栽培
ダイコンは基本的に種から栽培します。
移植すると叉ダイコンの原因となってしまうからです。
まず株間を30cmとし、直径10cmくらいで深さ1cm程度の穴を作ります。
コップや空き缶などで押さえると簡単に出来ます。
次に穴1ヶ所につき4〜5粒ずつ種をまきます。
そこに土をかぶせ、たっぷりと水をやります。
ちなみに土の上にさらにモミガラを乗せる方法もあります。
こうすることで、土が乾燥するのを防ぐことができます。
プランター栽培
株間、条間各15cm前後を目安に1ヶ所当たり4〜5粒ずつまきます。
■水やり
水やりは毎日行い、常に水に溶けた肥料が薄くある状態を保ちます。
ただし過湿にならないように注意しましょう。
■間引き(芽かき・摘芯)
畑栽培
発芽して、双葉ができると1回目の間引きを行います。
種をまいてからおよそ1週間〜10日後になります。
生育の良い苗を3本残し、他は間引きます。
間引いた後は株元へ軽く土寄せして、株を安定させます。
1回目の間引きからおよそ2週間後に2回目の間引きを行います。
目安としては本葉が2〜3枚になった頃です。
今は1ヶ所に3株の3本立ちとなっていますが、生育の悪い1株は間引き、2本立ちにします。
種まきから1ヵ月後に3回目の間引きを行います。
タイミングの目安は本葉が6〜7枚になった頃です。
1ヶ所に2株の2本立ちになっていますが、大きい株が抜けないよう手で押さえ、
小さい株を引き抜いて1本立ちにします。その後、くわなどで土寄せします。
ちなみに間引き菜も料理に使うことが出来るので捨てずにとっておきます。
プランター栽培
本葉が4枚になるまでに、1ヶ所当たり1本に間引きます。
本数を多く収穫したいなら、株間を20cm以上とって1ヶ所当たり2本残してもよいです。
ただし生育に大小が生じます。間引き後は土寄せをしておきます。
■追肥・土寄せ
主根が肥料に触れると、”叉根”の原因になるので肥料は必ず条溝施肥にします。
畑栽培
株間に化成肥料を30g/u追肥します。
ピンポン玉程度の量を置肥すればよいです。
再び株間に化成肥料を30g/u追肥します。
プランター栽培
本葉1枚時の元肥から20日おきに2回追肥し、生育初中期に旺盛に育てます。
■病気・害虫
本葉が出始めたら、シンクイムシとアブラムシの発生に注意をしましょう。
発芽時に適宜薬剤で予防するか、発生したら早めに駆除しておくのが良いです。
またウイルス病や萎黄(いおう)病には、耐病性の品種を利用するのがよいでしょう。
■栽培法
収穫
夏どり栽培 種まきから50〜60日で収穫します。
秋どり栽培 種まきから60〜80日で収穫します。
奇形根の発生についてですが、土の中に異物(石ころ、未熟堆肥など)があるときや
下層土が硬い場合、幼苗期の害虫、風害などにより曲がり・分岐・寸づまりになります。
また 収穫時期が遅れてしまうと、スが入ってしまい美味しくなくなってしまうので、収穫時期には要注意です。
畑栽培
よく太ったものから順次収穫します。
露出部の茎の根元部分をもっていっきに引き抜きます。
葉が根から水分と養分を奪ってしまうため、すぐに葉を切り取ります。
ダイコンは約95%が水分で、蒸発させないことが大切です。
白い根の部分はラップでくるむか、保存用のパックに入れて冷蔵庫の野菜室か冷暗所に立てて保存します。
葉はすぐ下ゆでして冷凍庫に入れれば約2週間は持ちます。
プランター栽培
プランターでは畑栽培よりもやや生育が遅れます。
春まきの場合、種まき後70日程度で収穫できるようになります。
秋まきの場合、気温が下がって生育が遅くなるので80日以上じっくりと太らせてから収穫します。
ス入りの少ない品種なら、100日以上の栽培もできます。
収穫するときはまとめて収穫するよりも大きなものを先に収穫し、小さいものは残して
大きく育ってから食べるとよいでしょう。
■おすすめ調理
もみじおろしはニンジンと一緒にすりおろすと、ダイコンのビタミンCが破壊されるので注意が必要です。
こんなときは酢やレモン汁を落とすと、ニンジンによるビタミンC破壊酵素の働きを押さえることができます。
ビタミンCやジアスターゼは熱に弱いので、効率よく摂るにはサラダやなますなど生がおすすめです。
下ゆでをする時は米のとぎ汁か、米やぬかを加えた湯でゆでると独特のクセが抜けます。
ダイコンは縦方向に繊維が入っており、これを切るか残すかで口当たりが変わってきます。
干しダイコンは、調理の際にむいた皮を細切りにして乾燥させます。
■調理利用法
ダイコンの味はうまく組み合わせると、ほかの素材のうまみを引き立てます。
そのためいろいろな料理に使われ、脇役ながら欠かせない野菜のひとつです。
また根や葉はもちろん、皮までまるごと食べられるのも魅力です。
ダイコン1本の部位ごとの特徴です。
首の近くは繊維が多く固いので小さく刻む料理、酢の物・サラダ・おろしにおすすめです。
真ん中は最も柔らかく、甘みがあります。
形も揃っていますからおでん・ふろふきなどの煮物、かつらむきにおすすめです。
辛味の強い先端部は薬味・辛口のおろし、味噌汁の実・漬物におすすめです。
葉は漬物や汁の具、炒め煮におすすめです。
適材適所の使い分けを心得ておけば、1本を丸ごと利用できる万能野菜です。
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